北海道の恵庭市などで、ペットとて飼育されていたアライグマが牧草地に捨てられ、繁殖しています。このアライグマが、農作物に被害を与えるとして、昨年度から捕獲、処分されています。
日本人の都合で輸入され、殺されてゆくアライグマを救助し、アメリカに送って、原野にリリースを行いたいと考えております。
皆様の、ご協力をお願いいたします。
98’= リリース・ノート Vol−1,1998−7−11
発行 Yokohama,DOG RESCUE
1,アライグマ とは?
アライグマ科アライグマ科の6種。全て、北・中央・南アメリカの原産
(アライグマ)Common Raccoon,Procyon lotor
カナダ南部から中央アメリカに分布、体長55センチ(尾長25センチ)
体重通常は5−8キロ、最大15キロ。一番多く見られる種。
日本に輸入されている主な種。
(カニクイアライグマ)Crab−eating raccoon,P.concrivorus
コスタリカ南部からアルゼンチン原産、アライグマよりも短く荒い毛で、尾は長く、首筋の毛が前に向く。日本で繁殖されていたとも言われている。
その他に、トレアリアアライグマ(メキシコ)、バルバドスアライグマ(バルバドス島)コズメルアライグマ(ユカタン・コズメル島)、グアドループアライグマなどがいる。
英名のRaccoonは、北アメリカ・ネイティブのaroughcan,arukun から命名され、意味は「手でこする人」である。種名の lotorも、「洗うもの」から命名された。
食性は、蛙、ザリガニ、魚、鳥、卵、などを河の近くで夜間採食し、果実、木の実、げっ歯類、などを求めて山に出向く。新鮮なトウモロコシは、格別のご馳走である。
冬季には、活動が鈍り、夜間の気温が零度以上にならないと、1ヶ月以上も巣穴から戸外に出ることは無く(冬眠ではない)、複数の個体が寄り添って巣穴で冬を過ごす。
交尾期は、米国では一月の後半から二月にかけて、平均63日程度の妊娠期間後、5−7頭の子供を産む。単独の雄が複数の雌の行動圏を歩き、一夫多妻と思われる。雄は行動圏が重ならないが、雌は重なり合う。
行動圏は、食物の豊富さで50−5000haまでの差異があるが、平均して800ha程である(北米での調査結果)。
3−7頭の生まれた子供は、母親と一緒に行動し、半年から次の子供が生まれる春までには分散する。
(DRウォイド、平凡社)
2、北海道におけるアライグマの野生化の過程(北大・池田助手の研究から)
1、1979年、恵庭市において約10頭が逃亡し、酪農地帯に潜伏した。小規模の逃亡が全道で続出し、1980年代後半から野生化の情報が見られる。
2、1990年に恵庭市の酪農地帯で被害が急増し、1992年には14市町村、1995年には18市町村で野生化が見られる。
3、1994年度に、狩猟鳥獣に指定されるが、夜間採食の為に狩猟圧による個体の減少は見られない。
4、1997年度から、恵庭市、長沼町で有害獣駆除として捕獲・処分を開始する。
5、1998年度から、南幌町でも開始。石狩支庁が「被害検討協議会」を開催する。
3、被害の実情
1、 被害の種類 農作物を中心とする生産財への被害と、生態系への被害に大別できる。
2、 被害の状況
A 空知管内では、
平成7年度 6千円
平成8年度 300千円
平成9年度 6,294千円
被害の内訳では、スイートコーンの食害が一番多く(4,430千円)、次には飼料のロール・ベール(2,290)、水産関係(855千円)、ウシ(2頭、700千円)などが続き、他の農作物が100千円から400千円単位である。 被害の大半は、恵庭市で発生している。
4、北海道の対策
1、 平成9年度より駆除を行う。猫と同様の捕獲器(箱罠)を仕掛け、現地で薬殺。
捕獲数は、平成9年度の実績で、合計 193頭。
平成10年度の6月中旬までの実績で、合計 104頭である。
捕獲は、今後9月頃まで続けられる予定で、平成10年度は大幅に増加すると予想される。
2、 アライグマ被害検討協議会の設置
石狩支庁農業振興部が座長となり、上記協議会を今年6月末に設置された。
趣旨は、「アライグマによる農業被害低減に向け、被害検討協議会を設置し、被害の実態調査を行うと共に、防止対策の検討や農業者等への啓発等を行う」とされている。
事業内容として、
である。
協議会は、大学(2名)、市町村(3名)、農業団体(5名)普及センター(2名)、支庁(3名)で構成され、来年1月までに8回の協議会やワーキング会議を開催し、手引書の作成と平成11年度以降の事業検討を行う。
5、「ラスカル、おうちに帰りたい! 98」 の趣旨
アライグマが野生化し、農作物等に被害を及ぼしているのは、ペットの安易な飼育の開始と、無責任な遺棄を原因としている。これは、YDRが日常で対処しなければならない、家庭動物の保護に至る原因と同じである。
野生動物を輸入し、「飼育方法は、猫チャンと同じです、、」と、嘘をついて販売している悪質なペット業者の存在も、命を無視した子犬や子猫の流通や販売での被害と同様の構図である。
また、野生動物として捉え、農作物被害を考えるとき、「駆除しか解決策を提出できない動物学者」や「根本原因を放置する行政」の姿勢も、他の野生動物への対処と同じであり、帰化動物の駆除ならばいたしかたない」という世論から同意を得やすいこの 問題を放置することは、「野生動物の管理強化」という名の元での「野生動物の簡便な 駆除」に繋がり、シカやクマなどの農作物被害の加害者への悪影響を招きかねない。
また、既存の動物愛護運動も、これらの動物を救おうとはしない。
実際の保護や救助を日常的に行い、その命の尊さを肌で感じ、多くの事例から学ぶ「真の原因」や「解決方法」を理解しないと、観念的なイデオロギーを振りまわしたり、教条的に「愛護の精神の普及」を押しつけるだけであることが多い。
今回のアライグマ問題も、根が深く、日本の動物に与える影響も大きい。
昨秋、静岡県は「伊豆高原の元ペンションに飼育されていた250頭の管理下に置かれた犬たちを処分する」と決定した。この決定は、行政の気に食わない人物(訴訟相手、ホームレス、生活保護受給者、政治的反対者など)が飼育している犬を、全国的にも殆ど受けていないワクチン接種を取り上げ、犬を処分し、飼い主を逮捕できるとしたもので、行政による「法の目的の逸脱」の典型的な事例であり、日本の犬の自由について大変に影響力を与える可能性がある事件であったが、どの団体も抗議の一つもしなかった。
今回も、同様である。
YDRは、犬の救助専門の非営利団体ではあるが、このように見放された動物たちを救わなければならない場合には、なんらかの訴えを行いたいと思います。
そして、一般の人々に現状を知ってもらい、その解決を求めるには、「現実での行動」が、捕獲されたアライグマを救助し、存命させる実際の活動が必要である。
この活動を通じて、野生化したアライグマ達に、広く社会に問題の原因を提示させ、様々な改善を図ることを趣旨とする。
アライグマの存命という直接的な目的以外には、「野生動物の飼育の禁止」「米国からの輸出の禁止」を視野に入れて、活動を行う予定です。
6、活動の内容
第一ステップ=調査と計画 (98年6月から9月まで)
1、 アライグマのリリースの可能性の確認を行う
@ 雑種化や特殊な変化を起こしている可能性の確認を、外観、生態、DNA検査等で明らかにし、原産国に影響の無いことを確認する。
A 米国、カナダ国内で、リリースが可能な場所の調査を行う
B 各種の駆虫方法と予防方法の確認を行い、検疫体制を確立する
2、 日本国内での飼育の可能性を探る
@ 動物園、自然公園、観光牧場など、アライグマを適切に飼育できる施設に対して、受け入れの要請を行う。(90箇所に送付し、了承は無し)
3、 リリースの計画の立案 ( 概略 )
@ 捕獲現場から箱罠ごと、若しくはバリケンネルに移し、役場などに集結してもらい、千歳空港から羽田へ空輸する。
A 川崎市の野生動物救護センターに収容し、体調の回復や治療、検疫などを行う。
B 成田から空輸し、現地ボランティアが体調の確認後、リリースを行う
第二ステップ=準備 (98年8月以降)
1、 ボランティアの募集
2、 資金計画
3、 協力していただける企業への説明
4、 行政との調整
5、 フォーラムへの参加準備
6、 その他
7、現在の問題点等
@ 日本国内の90箇所程度の動物園に、アライグマの受け入れを要請したが、返答のあった数カ所からは「ペットの放棄を受け入れていて、これ以上の飼育は困難」との説明を受けた。想像以上に、ペットとして飼育されていたアライグマの放棄や遺棄が進んでいるので、輸入の禁止、飼育の禁止などの処置が緊急に必要である。
A 調査段階において、デラウエア州などは農作物被害の拡大があり、移入は出来ないとFish and Wildlifeの担当官からアドバイスがあり、Wildlife Rehabborも同様の見解が多いので、米国内の協力団体はAnimal Rights 又はDefense 系に接触する必要がある。
B DNAレベルでの、移入可能かを判断したいが、今日現在は高価なラボしか見つかっていないため、米国内での協力してくれる研究期間を探す必要があること。
C 回虫・吸虫・エキノコックスなどの寄生虫の駆虫、狂犬病・ジステンパーなどの予防については、専門家からのアドバイスに基づいて対処が可能である。
D 輸出時、米国での輸入時には、動物検疫の法的義務は無く、実務としては通間手続きだけである。
E 連邦法、州法での米国を原産とする動物のリリースについての法的束縛はないが、計画の設立段階で、各州のFish and Wildlifeに説明を行う必要がある。現在、米国内での狩猟圧は、年間100万頭単位である。
F YDRの周辺でも、アライグマの出没が確認されているので、捕獲を行い、北海道以外の各行政単位にも対処を要請する。
G 一般の飼育下にあるアライグマの放棄・引き取りを要請される可能性が高く、その対処方法を決める必要がある。
H 早急は計画の立案と、受入先の確保が難しく、一方、北海道での捕獲はその趣旨からも絶滅まで継続するので、長期間の活動とし、計画の立案まではYDRが行い、実行段階で野生動物救護獣医師会など協力を了承いただいている団体などには正式に参加していただく。
I 調査段階で、法的整備の検討を行い、総理府、厚生省、農林水産省に全国レベルでの調査と法的制限の検討を申し入れる。
7、 皆様へ
アライグマは、どんな気持ちで、捕獲箱の金網を通して、北海道の最後の空の色を見ているのであろうか? 走りまわっていた牧草地の緑を見つめているのであろうか?
日本人の都合で輸入され、遺棄され、処分される動物を原産国へ帰還させ、その原野で与えられた命を全うさせる責任があると考えます。このような計画は、過去に例が無いために、多くの乗り越えなければならない問題がありますが、今後とも宜しくお願いいたします。
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